固定資産税評価額とは?調べ方や計算方法もわかりやすく解説
本記事では、固定資産税評価額の調べ方や計算方法、ポイントなどを詳しく解説します。
固定資産税は、土地や家などの固定資産を所有していると課税される税金です。税額の基準となるのは各市区町村が算定する「固定資産税評価額」で、3年に1度見直され、公示価格の7割程度になるように調整されています。
・固定資産税評価額の調べ方を知りたい
・固定資産税評価額の決め方を理解したい
・固定資産評価額が用いられる税金の種類を把握したい
上記のように考えている人は、参考にしてください。
そもそも固定資産税とは?
固定資産税は徴収した市町村により、公園や学校など公共施設の整備のほか、介護・福祉などの行政サービスにも使われている税金です。
固定資産の所在する市町村が課税する税金
令和6年3月31日までの新築住宅には減額特例が適用される
ここでは、固定資産税について上記2点を掘り下げて解説します。
固定資産の所在する市町村が課税する税金
固定資産税とは、毎年1月1日時点における土地や建物などの固定資産の所有者に対し、その固定資産の所在する市町村が課税する税金です。
例えば、所有する投資用マンションAが横浜市にある場合、所有者が川崎市に住所を有していても、マンションAの固定資産税の納付先は横浜市になります。ただし、東京都23区内の場合は、特例で東京都に対して都税として納税します。
なお、対象になる資産は以下の通りです。
令和6年3月31日までの新築住宅には減額特例が適用される
固定資産税は減額措置が適用される場合があり、令和6年3月31日までの間に新築された住宅には減額特例が適用されます。(下図参照)
一般住宅の場合は3年度分、長期優良住宅の場合は5年度分の税額が減額の対象です。なお、マンションなどの場合は5年間です。
一般住宅と長期優良住宅では減額される期間に違いがあり、長期優良住宅のほうが一般の住宅より2年程度長くなっています。
減額される割合は2分の1で、居住部分に係る床面積の120㎡までが対象です。なお、120㎡を超える部分は120㎡相当分まで適用されます。
一般住宅と長期優良住宅の特例内容は、以下の通りです。
固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額を調べる方法は、主に以下の3つです。
固定資産税課税明細書を確認する
固定資産評価証明書を入手する
固定資産課税台帳を閲覧・綜覧する
ここでは、固定資産税評価額の調べ方について解説します。
固定資産税課税明細書を確認する
固定資産税評価額を調べたい場合は、「課税明細書」を確認しましょう。課税明細書は毎年4月初旬頃、「納税通知書」とともに送付されます。
課税明細書は、固定資産税・都市計画税が課税されている土地・家屋の所在・地番や、価格などの状況が記載されている書類です。資産の種類により記載されている内容が異なり、例えば横浜市では土地の場合と家屋の場合で、以下のような違いがあります。
このように、固定資産税課税明細書で固定資産税評価額を確認できます。なお、固定資産税評価額についての詳細は次章で解説します。
固定資産評価証明書を入手する
固定資産評価証明書とは、所有している不動産の固定資産課税台帳に登録されている資産価値を証明する書類です。
固定資産評価証明書は、不動産が所在する市町村役場の窓口、もしくは郵送での取得が可能です。
固定資産評価証明書は資産に関する個人情報であるため、誰でも取得できるわけではありません。原則として不動産の所有者や関係者に限られています。
下図のように土地・家屋の所在や所有者、地積などが記載されており、価格や課税標準額なども確認できます。
固定資産課税台帳を閲覧・綜覧する
固定資産課税台帳を閲覧して、固定資産の価格や課税標準額などを確認することも可能です。固定資産のある市区町村の税務課窓口などで閲覧できます。
個人情報を保護するため、固定資産課税台帳は固定資産の所有者や関係者でないと閲覧できません。閲覧する際には、運転免許証など本人確認できる書類を持参しましょう。
記載されている主な内容は以下の通りです。
【土地】
所在地
地目
地積
評価額
固定資産税・都市計画税課税標準額及び年税相当額
【家屋】
所在地
家屋番号
種類
構造
床面積
評価額
固定資産税・都市計画税課税標準額及び年税相当額
固定資産課税台帳を名寄帳(なよせちょう)と兼ねている市区町村もあります。名寄帳とは、作成している固定資産課税台帳を、所有者別に一覧表でまとめたものです。
下図のように、固定資産課税台帳と同じ事項が記載されています。
固定資産税の計算方法
ここでは、固定資産税の計算方法や、固定資産税評価額の概要を解説します。
固定資産税の計算方法は「課税標準」×1.4%(標準税率)
計算式で用いる「固定資産税評価額」とは?
順番に見ていきましょう。
固定資産税の計算方法は「課税標準」×1.4%(標準税率)
固定資産税の計算方法や納税額は、以下の手順で決定されます。
・固定資産を評価
・評価額を基に課税標準額を決定
・課税標準額に税率(1.4%)を掛けて税額を算出
・固定資産の評価は各自治体が決められた方式を元に行います。
評価方法は土地や家屋、償却資産ごとに違いがあり、それぞれ個別に計算します。算定された評価に基づき、1月1日時点での資産価格を決定した金額が課税標準額です。
課税標準額に対し、税率(原則1.4%)を掛けた金額が固定資産税額となります。 計算式は以下の通りです。
課税標準額×税率(1.4%)=税額
ただし、市町村は1.4%ではない税率を条例で定めることが可能です。新築住宅特例など、課税標準額を減少させる措置に適用されるケースがあります。
例えば、以下の例で税額を計算してみましょう。
【課税標準額が1,000万円の一戸建ての場合】
● 本来の税額:1,000万円(課税標準額)×1.4%(税率)=14万円
● 新築住宅特例を適用した税額:14万円×1/2(減額割合)=7万円
※:令和6年3月31日までに新築した一般住宅の場合
令和6年3月31日までに新築された、課税標準額1,000万円の一般住宅に関しては、本来14万円の固定資産税が、3年間7万円の税額で課税されます。
※1:その建物をもう一度建てる際にかかる費用(実際の取得価格ではない)
※2:建物の建築後の年数の経過に応じて生じる減価を基礎として定めた数値
固定資産税評価額は各市区町村(東京都23区の場合は都)が算定し、3年に1度見直されています。土地の場合は、公示価格の7割に調整されているのが特徴です。家屋については再建築価格や経年減点補正率などに応じて、評価額を算定します。
固定資産税の基準となる他に、都市計画税や登録免許税、不動産取得税の算出にも使われ、売却する際の価格の参考にもなります。
計算式で用いる「固定資産税評価額」とは?
固定資産税評価額とは、固定資産課税台帳に記載された、固定資産税などを課税する際の基準となる価格のことです。
固定資産評価基準による評価方法は、以下の通りです。
固定資産税評価額について知っておくべき3つのポイント
ここでは、固定資産税評価額について知っておくべき3つのポイントについて解説します。
評価替え
公示価格
用途地域
順番に見ていきましょう。
3年に一度の評価替え
固定資産税評価額で知っておきたいポイントの一つは、固定資産税評価額は3年に一度の評価替えがある点です。土地の場合、接続道路の状況や周辺地域の変化、土地の使用状況などによる見直しを実施します。
家屋は、建築物価の変動を反映した補正率や、家屋の建築後の経過年数に応じた補正率を用いて価格を見直します。近年では、令和3年度に評価替えが行われました。次回以降は令和6年度、令和9年度に行われます。
土地や家屋は膨大な量であるため、毎年評価を見直すことは実務的に困難です。そのため、土地と家屋については原則として3年間評価額を据え置く制度となっています。
公示価格
公示価格とは、国土交通省が発表している土地の価格で、毎年1月1日時点における全国の標準地の正常な価格を3月に公示します。土地の固定資産税評価額は、公示価格の7割です。
1㎡あたりの単価となり、土地取引や資産を評価する際に価格の客観的な目安として活用される公的な価格です。毎年決まった場所の価格が公表されるので、地価の変動が分かりやすい点がメリットといえます。
公示価格は、国土交通省が運営している「土地情報総合システム」で確認できます。
用途地域
用途地域とは、都市を住宅地、商業地、工業地などいくつかの種類に区分したものです。評価額は地価公示価格の影響を受けるため、利便性の高い土地ほど税金も高くなります。
したがって、用途地域が商業地域などの場合は固定資産税が高額となります。
固定資産税評価額の決め方
固定資産税評価額を決める際には、家と土地を分けて評価するのが基本です。
家と土地は分けて評価される
土地の固定資産税評価額の計算方法
家の固定資産税評価額の計算方法
ここでは、固定資産税評価額の決め方について解説します。
家と土地は分けて評価される
固定資産税評価額は、市区町村などから通知される固定資産税の「納税通知書」に記載されている課税明細書(下図)や、固定資産税評価証明書で確認することが可能です。
「価格」もしくは「評価額」の欄に固定資産の評価額が、土地と建物に分けて記載されています。不動産における現在の価値は、評価額で判断されます。
上図の場合、土地の固定資産税評価額は1092万4,130円、家屋の評価額は700万円です。
土地の固定資産税評価額の計算方法
ここでは、土地の固定資産税評価額を計算してみましょう。
土地の固定資産税評価額は、固定資産評価基準に基づき、地目別に定められた方法により評価されます。地目(宅地や畑など土地の用途)によって算出方法が異なり、建物の敷地である宅地の場合は「路線価方式」または「標準地比準方式」のいずれかで計算されます。
路線価方式では、道路に面する土地の1㎡あたりの価格(路線価)に、土地の状況に応じた補正率と地積を乗じて、固定資産税評価額を求めます。
計算式は以下の通りです。
土地の固定資産税評価額=固定資産税路線価×土地面積×評点
例えば、以下のケースで計算してみましょう。
固定資産税路線価:1㎡あたり50万円
土地面積:100㎡
評点:0.8
この場合、計算式に当てはめると以下のように算出されます。
土地の固定資産税評価=50万円×100㎡(土地面積)×0.8(評点)=4,000万円
上記のように、土地面積が100㎡の固定資産税評価額は4,000万円となります。
家の固定資産税評価額の計算方法
家の固定資産税は、「再建築価格方式」によって計算されます。
再建築価格方式とは、再度建築する場合の建築費を求め、それに建築後の経過により発生する経年減点補正率を乗じて評価額を求める方法です。
年数が経過するごとに建物劣化するため、経年減点補正率を使用して適正な評価額を割り出します。構造・用途などを区分けした基準表に記載された補正率を使用して、評価額を計算しましょう。
家の固定資産税評価額は、以下の計算式で算出されます。
家の固定資産税評価額=再建築費評点数×経年減点補正率×評点1点あたりの価額
上記の金額で算出された金額と当該家屋の前年度の価額を比較して、どちらか低い額が評価額となります。なお、再建築費評点数とは同じものを再度建築するときにかかる建築費を点数に置き換えたものです。
経年減点補正率は、法務省で確認できます。評点1点あたりの価額の決定は市町村長が決定し、1点=1円となります。
例えば、以下のケースで計算してみましょう。
【再建築費評点数が4,000万円の新築木造住宅】
● 経年減点補正率:0.8
● 評点1点当たりの価額:1円
4,000万円(再建築費評点数)×0.8(経年減点補正率)×1.0(評点1点当たりの価額)=3,200万円
このように、家の固定資産税評価額は3,200万円となります。
税額の計算時に固定資産評価額が用いられる4つの税金
固定資産税評価額は、主に以下の計算時に利用されます。
・固定資産税
・都市計画税
・登録免許税
・不動産取得税
順番に見ていきましょう。
固定資産税
固定資産税は毎年1月1日現在、固定資産(土地・家屋・償却資産)を所有している人がその固定資産の所在する市町村に納める税金です。
東京23区内にある固定資産は、都が都税として課税しています。納める税額は「課税標準額×税率1.4%」で計算します。東京都の場合、納める時期は以下の年4回です。
第1期:6月
第2期:9月
第3期:12月
第4期:2月
都市計画税
都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業をする市町村が、都市計画区域内にある土地や家屋に対して、その事業に必要な費用に充てるために課税される税金です。
課税基準日は固定資産税と同じく毎年1月1日で、通常、固定資産税とあわせて年4回納付します。納税義務者は、市街化区域内に土地や家屋を所有している個人や法人です。
課税標準額は固定資産税の課税標準額と同額で、「課税標準額×税率0.3%」で計算します。
登録免許税
登録免許税は、土地や建物を建築あるいは購入したときに課税される税金です。所有権保存登記や移転登記する際に納付します。
不動産の名義を変更するときや、住宅ローンの抵当権を設定するときなどに課税され、登記などの種類により税率には違いがあります。
例えば、土地の所有権移転登記は以下の税率となっています。
売買や贈与、交換などは2%ですが、相続や法人の合併などは0.4%と低くなります。
なお、売買は令和5年3月31日までの間に登記を受ける場合は1.5%に軽減されます。
不動産取得税
不動産取得税は土地や家屋の購入、贈与、家屋の建築などで不動産を取得したときに、取得した人に対して課税される税金です。
不動産取得税は有償・無償、登記の有無にかかわらず課税されます。ただし、相続による不動産の取得は非課税となり、不動産取得税はかかりません。
税率は令和6年3月31日まで「土地・家屋」は3%、「店舗など」は4%となります。
不動産取得税の計算方法は以下の通りです。
不動産取得税=取得した不動産の価格(課税標準額)×税率
例えば、課税標準額が1,000万円の土地の場合、「1,000万円×3%」で30万円が課税されます。
固定資産税評価額から不動産の売却相場は分かる?
固定資産税評価額は、実際に売れそうな売却価格の相場を調べる際に参考となります。ただし、必ずしも正確な価格になるとは限りません。
・宅地の公示価格の7割が目安
・実際の売値とは乖離がある
・建物についてはあまり参考にならない
ここでは、固定資産税評価額と売却相場の関係性を、上記3つの観点から解説していきます。
宅地の公示価格の7割が目安
前述したように宅地の固定資産税評価額は、公示価格の7割が目安です。
平成6年度の評価替えにより、宅地の評価は地価公示価格などの7割を目途に評価されるようになりました。理由としては、市町村間のばらつきを解消し、全国的な評価のバランスを確保する点が挙げられます。
全国で統一された客観的な物差しを導入することにより、宅地の評価を公平かつ合理的に行うことが可能になり、売却相場の目安価格として活用されています。
固定資産税評価額は公示価格の7割程度であるため、公示価格を算出する際には「固定資産税評価額÷0.7」で計算しましょう。
例えば、宅地の固定資産税評価額が2,000万円の場合、「2,000万円÷0.7」で計算すると売却相場は約2,860万円と考えることができます。
実際の売値とは乖離がある
固定資産税評価額は、国が公表した公示価格に基づいて算出された評価額です。
売却価格を決めるときの参考にはなるものの、実際の売値とは乖離があります。なぜなら、公示価格は1年に一度、固定資産税評価額は3年に一度のサイクルで見直されるからです。そのため、最新の市場動向にはすぐに反映されません。
したがって、現時点でのより正確な価格相場を知りたい場合は、不動産会社に査定依頼することをおすすめします。
建物についてはあまり参考にならない
固定資産税評価額は宅地の場合は有効といえますが、建物の場合はあまり参考になりません。なぜなら、建物の固定資産税評価額は「再建築価格方式」により評価されるからです。
再建築価格とは、評価の対象となる家屋と同一のものを、評価時点において新築する場合に必要となる建築費です。
総務大臣が定めた「家屋の固定資産評価基準」に基づいて、主に以下の材料や寸法、構造などを詳細に評価します。
・屋根
・基礎
・外壁柱
・壁体
・内壁
・天井床など
材料や構造などに基づいた価格のため、都心部にある建物の場合は適切に評価されるとはいえません。そのため、建物の売却相場を知りたい場合は、近隣の類似物件の成約価格や売出し価格をリサーチする必要があります。
草加市・八潮市 不動産売却相談窓口
住所:埼玉県草加市住吉1-5-27
電話番号:048-948-6162
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